自衛隊はお役所です。
自衛官というお仕事は、普段あまり有給休暇や代休を消化できるわけではないので、その分「お盆や年末年始といった長期休暇はまとめてお休みをとれるチャンス」なのです。
意外なことに民間企業よりもゆとりがあり、普通に10日~14日程度の連休が作れたりします。
そこで今回は「自衛隊のお盆休み(夏期休暇)はいつからいつまでか」「なぜ長期休暇を取りやすいのか」その仕組みについてお話ししますね。
「自衛隊の彼氏と夏に旅行に行きたい」「旦那がどのくらい休みをもらえるか知りたい」という女性の皆さん、ぜひ参考にしてください。
自衛隊の休みは意外に長いもの。でも「休みをいつ取れるか」は人それぞれなんですよ。
自衛隊のお盆休みはいつからいつまで?
前段休暇・後段休暇って?
自衛隊における長期休暇は、通常二つの期間に割り振られます。
コアなお盆休みを中心にして、「前段休暇・後段休暇」と呼ばれるのですが。
これは「部隊を維持できる最低の人数を残して(つまり、一定数の人はお盆でも出勤している)」順次休暇を取らせる」というシステムです。
指揮官クラスは、必ず誰かが出勤もしくは呼集に応じられる体制を整えて、何かあったらすぐに対応できるようになっていますし、幹部・曹・士に至るまで同様に休暇を割り振られているのです。
おおまかに前段・後段と分かれていますが、個別に数日のバッファを設けて各自調整できますので「帰省や旅行に合わせてお休みを取ることも可能」です。
お休み中でも待機(休日出勤)がある!?
自衛官の勤務体系で、ちょっと特殊な考え方があります。
よく「待機」と言われる状態ですが。
待機にも色々と種類があり、戦闘機のスクランブル発進やレスキューの出動のように「一報があればすぐに即応できるよう機体のすぐ傍にある待機室などに詰めている場合」もあります。
最も緩いのは自宅待機
最も緩いのは「自宅近辺にいて、呼集に応じられるならすぐに出勤してください」という状態です。
この場合、自宅にいる分には問題なし。
近所に買い物に出るくらいなら、通常の休暇と変わりませんが。
例えば映画館などに入って携帯の電源を切るのはアウト。
銭湯などに居て携帯を手元から離すのも同様。
もちろん、遠出もNGですので、旅行なんて行けません。
「すぐに電話がとれて、必要があればすぐに職場に出勤できる状態」であれば、自由に過ごしてくれて構わないよ、という区分になります。
この待機は、長期休暇だけでなく、多くの自衛隊の職場では当番制で普段も割り振られています。
お盆休みの間も、帰省や旅行で遠方に行く以外は「こうした状態で自宅近辺にいる」というやり方で、全体のお休みの割り振りを考えているのです。
恋人や配偶者がこういう状態だと、不便や不自由と感じる人もいるかもしれませんが。
慣れてしまえば「普段通りの週末、休日とそれほど変わりませんし、めったに呼び出されることもない」ので、あまり気にならなくなってきます。
長期休暇は行動計画表を作成・提出?!
長期休暇は行動計画表の提出義務がある!?
お盆は、普段実家から離れたところで勤務している自衛官が多いので、帰省したり。
ハイシーズンであっても遠方に家族旅行したり。
いっそのこと海外旅行でも!と奮発する人も珍しくありません。
そうした場合、ネックになるのが行動計画表です。
「基地・駐屯地から離れる期間、帰隊(自宅に戻り、出勤可能になる状態)までの行動計画表」を作成、提出、チェックの上で、上官の承認を貰わなければなりません。
とはいえ、基本的に無謀な計画でなければ問題なく通ります。
たまに却下される場合もありますが。
行動計画を却下されるケース
それは遠方の実家に戻るために「ほぼ24時間運転しっぱなしという陸路での移動のプラン」だったり(事故の発生を想定しうる無茶なスケジュール)。
「海外で政情不安な地域への入国」を計画していたり(自衛官という身分がネックで入国すること自体が危険になる場合もありうる)というケースくらいです。
過去に問題になったことも・・・
過去に「面倒だから…」と、そうした行動計画を提出せずにちょっと台湾や韓国に遊びに行き。
二泊三日程度と思ったら天候悪化などで飛行機が飛ばなくなって本来の出勤日に帰隊できず。
国際電話でその申し開きをして帰国後大問題になった。
・・・というケースは複数聞いたことがあります。
「バレなければよい」という問題ではないので、きちんと必要な手続きを踏んだ上で長期休暇を楽しむことをおすすめします。
自衛隊の夏期休暇は長い?まとめ
夏は台風等の災害が多いので要注意
夏休みは、実は台風や長雨、水害といった災害の多い時期です。
そして自衛官は災害時には駆り出される職業です。
お盆休みのど真ん中に、東北地方で集落が呑み込まれるような土砂崩れが起き、多くの陸上自衛隊の部隊が災害派遣で動員された事例を身近なところで見ています。
こうした場合、旅行や様々なレジャーのプランを立てていたとしても「呼集に応じて出勤し、キャンセルする」ことも珍しくはありません。
そして残念なことに、そうした場合のキャンセル料、払い戻しの差額などは補填されることはありません。
自衛官と付き合う、結婚する、というのは「そうしたトラブルを呑み込んで、文句を言わず送り出す」ということと表裏一体です。
私が知っているケースでは・・・
まさにお盆で、子供たちを連れて千葉の某遊園地に泊りがけで遊びに行った一家がいたのですが。
ご主人がスマホのニュースを見て災害を知り、その場から一人だけ車で自宅に戻って災害派遣に出発。
残された奥さんは予定通り連泊して子供を遊ばせ、帰りの大荷物の殆どを宅配サービスで自宅に送り、混雑した新幹線を乗り継いで帰宅する。
・・・という選択をしたケースもあります。
そういう場面に直面した時、「いかにたくましく乗り切れるか」が自衛官の嫁としての在り方や覚悟に直結します。
とはいえ、こうした伝説級のケースは稀です(笑)
ほとんどは普通に無難に夏休みを楽しんでいるはず。
ただし、滅多にない連休だからと、欲張りすぎず、詰め込み過ぎず。
行動計画にはゆとりをもって楽しんでくださいね♪