離島から山奥まで、日本各地津々浦々、どちらかというと田舎を中心に点在している航空自衛隊の基地や分屯地。
航空自衛官は自前で“飛行機”を運用しているということもあって、一般社会の人々とはちょっとズレた感覚を持っていたり…と空自ならではの“あるある”が存在します。
一般社会とはちょっと隔絶された世界で働いている自衛官たちの、突っ込みどころ満載だったり、ギャップに思わず笑ってしまうポイントなどについてお話してみましょう。
航空自衛官妻である私が「空自あるあるネタ」を紹介しますよ♪
時空を超える~ヤツラに距離は関係ない~
航空自衛隊の人員・物品の輸送は、基本的に輸送機・輸送ヘリを使います。
もちろん、近距離なら車も用いますが、長距離の基地間の輸送は“定期便”を使って空輸です。
普通だったら大変な時間をかけるところが、彼らの中では「あっという間な簡単な移動」になっているんです。
この辺りはドラマ「空飛ぶ広報室」でも語られており、作中でも入間基地(埼玉県狭山市)~千歳基地(北海道千歳市)を半日で往復していました。
特に空自の中でもパイロットたちは「飛行機を自分たちが飛ばしている」こともあり、この傾向が顕著です。
例えば松島基地(宮城県東松島市)から入間基地(埼玉県狭山市)へ移動する場合、約400キロ。
陸路で移動すると車で高速道路を使って4時間半、公共交通機関なら新幹線を駆使しても4時間。
その距離を、C-1輸送機なら1時間ちょっとで飛んでいくといえばご理解いただけるでしょうか。
同様に、それが戦闘機ならもっと早くなります。
いずれもピンポイントのドア to ドアで移動するので「駅に行って…、公共交通機関を使って…」という感覚がもどかしいと思う人も少なくありません。
ヘリコプター(H-60J)パイロットの嫁曰く。
「やつらは“キントウン(金斗雲)”持ってるからねー」
キントウン___ドラゴンボールの悟空が乗って自在に空を飛び回るアレです。
確かにヘリコプターは自由自在に飛び回り、どこにでも飛んでいけますから、至言といえるでしょう。
しかし、その感覚を家族旅行などに持ち込まれるとイラっとします。
「遠い!遅い!まだ着かないの?」って言うな!
___ウチだけじゃなく、ご同業の嫁からは結構な確率で同様の言葉が聞こえてきました。
移動も旅行の楽しみ!ってか、このスピードが普通なんだよ!!
キャップはアゴ紐を遵守~イカツイ男の萌ポイント~
航空自衛隊の最大の任務は、航空機を安全に飛ばすこと。
というわけで、飛行場区域内ではあらゆるものに注意が払われます。
「引火しやすい航空燃料を搭載した航空機が並ぶ駐機場(滑走路と格納庫の間にある広場)では禁煙」は当然として。
その他にも「エンジンを回した時に吸い込む異物がないように」と、徹底した管理が行われます。
そんな中でちょっとカワイイと思うのが、現場で作業している整備員さんやパイロットのキャップです。
部隊毎の色や刺繍でどこの人か一目瞭然のアイテムですが、このキャップにはアゴ紐がついています。
普段はつばの上に収めているそれを、飛行場エリアに出る時にはさっと下ろしてアゴにかけるのです。
「帽子が風にあおられて飛ばされないように」という配慮であり、不文律です。
ブルーインパルスのパイロットたちも飛行場エリアでは同様にアゴ紐をかけているので、写真などを見る時には注目してみてくださいね。
いかつい男性隊員がアゴ紐をかけているのって、ちょっと萌えます。
小学生の運動会の集合写真みたいで、クスッと笑えます(笑)
キャンプは仕事?~アウトドアというよりサバイバル~
空自には、陸自のレンジャーや空挺に相当する屈強な集団がいます。
航空救難団に所属する救難員、通称“メディック”と呼ばれる人々ですが、日々厳しい訓練を課し、素晴らしい肉体美を維持しています。
さて、そんな彼らが職務上身に着けた素晴らしいスキルがあります。
海でも山でも呼ばれれば身一つで突き進んで遭難者を救い出す、その彼らが得意とするもの…それはキャンプです。
極限のサバイバル訓練を受けていたら、道具の揃ったキャンプは彼らの能力を存分に発揮するレジャーになりうるでしょう。
とはいえ「仕事でやり過ぎているからプライベートでは行きたくない」と言う人がいることも確かで、積極派と消極派と極端に分かれるようです。
そして、積極派はその高すぎるスキルによって軽々といろんなことが出来てしまうがゆえに、やり過ぎてしまう人も少なくありません。
たとえば「キャプ場ではないところで露営しようとして家族に嫌がられる」とか。
料理で「名古屋コーチンなどの鶏を丸ごと持って行って、羽根を毟るところから本格的にさばいて子供にドン引きされた」とか。
そういう話は枚挙にいとまがありません。
彼らにとっては仕事の一端として身に着けたスキルですが。
パパとして「その技術を家族に見せてあげよう!」として、ついついやり過ぎてしまうようですね。
家族は普通のキャンプで十分なんですよ、お父さん!
サバイバルは仕事だけにして欲しいです
器用な人が多い~整備員にできないことはありません~
空自ならではの“あるある”には当てはまらないかもしれませんが。
私が見てきた中には「格納庫と格納庫の隙間の草地がいつの間にか立派な畑になっていて、大根やネギが良く育ち、年末に鍋にして食べていた」という場所があったり。
「興味本位でハーブの種をまいたらミントが大量発生して、みんなで分けて入浴剤にした」と言う話もありました。
そして、それを行っているのは、飛行機の整備員さんたち。
整備員さんは器用な人が多いので、彼らが本気を出したら何でもできちゃうんですよね、ということらしいです。
昼休みに畑仕事をしていたおじさんたちとか、ちょっと微笑ましいですよね。
ちなみに、表側からは見えないところにその畑はありました(笑)
彼らの名誉のために一言。仕事中にやってるのではなく、休憩時間に趣味で行っていることですよ(笑)
まとめ
自衛隊は外から隔絶された世界だからこそ、その環境を存分に活用している人が多い、そんな気がします。
とはいえ、それは世の“常識”ではなく時々“非常識”なのですが、本人たちがそれに気づいていないことが問題だったり、笑いのポイントだったりするのです。
世の中のスタンダードでないことがいっぱいありすぎる自衛隊。
観察してみると結構なワンダーランドなのかもしれません。