東日本大震災以降、自衛隊の“災害派遣”という言葉をよく耳にするようになりました。
ことに、地震・台風・水害などが多発するようになった昨今、そのキーワードはワイドショーなどでも取り上げられるようになっています。
通称“災派(さいは)”___しかしその実態はあまりよく知られていません。
ここでは「自衛隊の派遣期間や、発災(はっさい=災害発生)からどうしたら派遣されるのか」などについてまとめてみましょう。
被災者を救助する自衛官は頼もしい存在ですが、彼氏や夫が自衛官だと「災害派遣期間はいつからいつまでなのか」が気になりますよね。自衛官妻である私が紹介します!
自衛官の災害派遣とは?
主な災害派遣の種類は?
防衛省・自衛隊は“自衛隊法”という法律に則って災害に対する行動を行います。
“災害派遣”の規定には、「災害派遣」・「地震防災派遣」・「原子力災害派遣」があります。
台風や地震、大規模な噴火や土砂災害などが発生し、警察や消防、海上保安庁など同業他社では手に負えない場合に都道府県知事から要請があり、必要と思われる部隊が現場に派遣されるのです。
被災者の捜索・救助・救命やその後の生活支援・医療支援などを継続して行うところまで様々な項目があります。
意外なところでは、医療体制の不十分な離島や洋上を航行する船舶などからの急患空輸などもあります。
海に囲まれた日本では、実際に“災派”と呼ばれるものの多くがこうした活動になっています。
入浴支援や給水・食事の提供も災害派遣は多岐にわたる
また、よくニュースで取り上げられるのは地域全体が被災し、その復旧まで学校などが避難所になる場合などで、危機的状況を乗り切るまでの入浴支援(大浴場を設営し、運営する)や給水・食事の提供などですね。
主に派遣されるのは陸上自衛隊ですが、そうした時期にはオリーブドラブ(茶色が混ざったようなグリーン)の幌付きのトラックなどに『災害派遣』という横断幕を付けた車列を高速道路などで見かけることがあります。
また、緊急性の高い状況に於いては大型の輸送機やヘリコプターなどを動員して人員や物品を運ぶこともでき、自衛隊ならではの機動力を余すことなく発揮しています。
自衛隊の災害派遣要請 いつから派遣される?
基本的には何某かの災害が発生した場合、都道府県知事などが部隊派遣を要請し、要請を受けた防衛大臣が認めて、初めて災害派遣が成立します。
原則として、自衛隊が独自の判断で部隊を現場に派遣することはありません。
ただし、1995年の阪神大震災の経験を経ての大規模地震対策特別措置法に基づき、現在では震度5以上の地震があった時などは指揮官の独自の判断で派遣準備を進め、現地に向かうこともできるようになっています。
しかしさまざまな経験談から察するに、災害派遣に関しては、その命令が下るより前に初動対処態勢を整えて先行の部隊(FAST-Force)を送り込むなど、対応が後手に回らないようにしています。
というのも、阪神大震災の折には自衛隊に対する感情が難しい地域、時期であったことから災害派遣要請が遅れて被害を最小限に押し留められなかったという苦い経験があり、その轍を踏むことがないようにと早めに対応できるようシステムを変えてきているのでした。
この辺りの流れは、ドラマ「空飛ぶ広報室」の第7話で、鷺坂(柴田恭兵)やリカ(新垣結衣)のセリフの中にも描かれていました。
自衛隊の災害派遣はいつまで続くの?
基本的に災害とその被害が沈静化して「自衛隊以外(役所や民間企業)でもその支援が可能」な状況になるまで、と考えられています。
自衛隊は、自衛隊でなければできない仕事・支援をするからです。
大規模な地震・水害・土砂災害などの場合には緊急性のある人命救助から始まって、避難所の設立、基本的なインフラの応急的な復旧と給水などの生活支援を行い、その間に他のエリアから応援のマンパワーや物資が送り込まれてくるまでの間を支えています。
それは数日で終わる場合もあれば、数週間・数カ月に及ぶ場合もあります。
ここばっかりは「災害の規模による」としか言えないのです。
自衛隊の災害派遣期間についてまとめ
「災害派遣は“勝利無き闘い”である___その言葉の意味を___今、噛みしめています」
これは、ドラマ「空飛ぶ広報室」最終話で空井大祐(綾野剛)がリカに宛てたメールに書いた言葉です。
2011年4月1日、発災から約3週間、水没した松島基地の滑走路を復旧させ、壊滅状態だった東松島市の街を立て直すべく奮闘していた自衛官たちの心情を代弁するそれは、とても印象的に語られていました。
近年ではその東日本大震災や2015年の常総市・鬼怒川の氾濫などでマスメディアに取り上げられるようになり、防衛省・自衛隊の災害派遣に対する一般的な理解が進みました。
また、自衛隊も積極的に広報している部分もあり、その訓練の厳しさや災害の現場における自衛官たちの姿や奮闘ぶりも広く知られるようになっています。
そんな中で、長期にわたる災害派遣では音楽隊による避難所などへの慰問や、医療の分野でもメンタルケアなどにも重点をおいて地域・民間の活動を支援するなど、その仕事は多岐にわたっています。
場合によっては、自衛官自身やその家族も被災者になっていたケースもあります。
それでも一刻も早い救命と復旧のために奮闘する自衛官は、その間ほぼ不休で働いています。
そんな彼らの活動に対して、どうか温かい目を向けていただければ幸いです。
↓こちらの記事もチェック↓