「自衛隊の彼氏と冬に旅行をしたいんだけど、正月休み(冬期休暇)はどのくらい?
自衛隊は休みが長いって聞くけど本当?」
そんな風に悩んでいるあなた。
結果から言いますと・・・
はい、自衛隊の休みは長いです。
年末年始はそれぞれ合計で10~14日程度の連休をとることが可能です。
その中でポイントになるのが「クリスマスと、お正月の三が日~松の内」といったコアになるイベントです。
職種や勤務地によってもいろいろと変わりますが、ここでは航空自衛隊に於いて経験している「年末年始の休暇」を例にお話ししましょう。
航空自衛隊について紹介しますが、陸上自衛隊も似たような休暇だと思いますよ♪
自衛隊の冬休み(正月休み)はいつからいつまで?
基本的に「お正月の三が日を中心に、前段、後段に分かれて取得する冬休み」ですが。
そこでネックになるのが「クリスマス」、そして「大晦日~元旦にかけての事情」です。
クリスマス前後の休み傾向
クリスマスは「独身の隊員」や「子供が小さい家庭」を優先的に休みを取らせる傾向があります。
そうした場合には「前段休暇」として「クリスマス前から休暇に入り、三が日明けの4日ころから出勤」というパターンになりますね。
部隊それぞれのやり方や、その時期の雰囲気もありますが、比較的こうした配慮はされているようです。
お正月前後の休み傾向
また、大晦日から松の内にかけて「遠方の実家にゆっくり帰省したい」とか、「子供の学校がクリスマス明けまである」などというケースも増えてきています。
なので、そうした場合には「12月下旬から後段休暇を取り、松の内が明けて第一週丸ごとお休みをとる」という選択もあります。
基本的に正月三が日を挟んで、前か後にずらして休暇を配分しています。
いちばん遅い後段休暇をとった人が職場に帰ってくるのが成人の日の翌日、という場合もありうるのです。
お正月にも出勤する人はいる
クリスマスもお正月も、自衛隊は24時間稼働しています。
休暇に入る人は沢山いますが、それでも何か事が起これば必要に応じて部隊が動き、対応することになるのです。
そこで、場合によっては「クリスマスイブに当直を引き受ける代わりに、お正月に優先的に休暇をとらせてもらいたい」という人や、「代休を付け足して少し長めに休みたい」と申請するケースがあったりします。
「奥さんが妊娠中だから、正月も官舎に残って帰省も遠出もしないので、正月の三が日出勤する代わりに、少し先にある出産の前後に有休をとらせて欲しい」など、それぞれの事情も出てきます。
そうした部分は所属長や周囲が柔軟に個別対応し、「全体的に不平等が生じないように休暇を取得させる」ようになります。
祝祭日の出勤手当は?
ただし、残念なことが一つ。
知己で消防士さんのご一家がおり、こうした勤務体系の話になったときに教えてくれたことですが。
そのお宅では率先して三が日勤務を勧めていたようです。
なぜなら、その間は職種や場合によっては数千円の特別な出勤手当がつくから、というお話。
羨ましいですね。
自衛隊にはそうした手当は一切ありませんから!
長期休暇中の旅行や帰省の計画は余裕を持って!
自衛官は全国津々浦々から集まって勤務地に赴任していますので、実家が遠方の場合「新幹線や飛行機、さらにはフェリーなどを利用して移動する人」が沢山います。
ちなみに自衛隊の長期休暇に関しては「予め行動計画表を提出する決まり」がありますので、早めにプランを練ったり、交通機関や宿の予約を進めるようになってきます。
実際、自衛官は九州出身者が多く、また、身近にも複数、離島出身者がいて「空港から陸路で港へ出て、フェリーで島に向かう」という話をよく聞きます。
このようなケースで困るのが、天候悪化による予定の変更です。
計画していた乗り継ぎがタイトだと、万が一の場合「休暇中に職場に戻ってこられない」という事態も想定されるからです。
年末年始は全国的な帰省ラッシュの時期。
振替便の手配もままならないような事態もあり得ますので、行動計画を綿密にたて、そうした天候の情報にも定期的にチェックを入れる必要がでてきます。
人によってはそうした移動を段階的にして「経路上の温泉などに一泊するよう予めルートを設定している」など、工夫している話も聞きました。
休暇とは言え、何が起こるかわからないものです。
特に最近は、異常気象が多いですからね。
だからこそ、柔軟性を持ったプランをねる必要がありますよ。
自衛隊の冬季休暇ならではの怖い話
自衛隊は365日24時間稼働しています。
クリスマスだから、お正月だから、といって無人になることはありえません。
そのため、上記のように長期休暇をとるときにも最低限の人数が出勤になっているのですが。
それでも、年末年始に恒例行事のような「航空部隊ならではの怖い話」があります。
クリスマスイブや、大晦日という、多くの人がくつろいでいる時に限ってスクランブル(緊急発進/防空識別圏に他国の飛行機等が侵入してきた時に発動する)がかかるのです。
私が経験したのは、クリスマスイブの真夜中2時にロシア機が北海道の北側から日本海を南下してきたためにかかったスクランブル。
領空侵犯阻止の追尾の為に千歳から上がったF-15と、それをフォローする各地の部隊は非常呼集で出勤しました。
恐らく、その進路上にあった秋田、新潟、小松近辺まで同様に出勤し、当該のロシア機が防空識別圏外に出るまでじっと見守っていたはずです。
また、九州や沖縄近辺でも、同様に大晦日の深夜に中国機に対処するためのスクランブルがかかることが多いです。
これは、国情の違いといえなくもない事象です。
なぜなら、ロシアのクリスマスは1月7日(ロシア正教、ユリウス暦)なので、全世界的に行われる12月25日のクリスマス(カソリック、グレゴリオ暦)はロシア軍にとっては平日なのです。
また、中国も、一般的な新年より1月末~2月初旬の春節を大々的に祝うので、日本の大晦日~正月は特別な日ではありません。
そのため、「日本に対する何某かの意図ををもって、その日を狙いすまして飛んでくるのは勘弁してほしい」と、この時期いつも思い出しています。
その年のクリスマスイブの夜中、25日の2時に出勤して、待機について、スクランブルのF-15が無事に千歳に戻って着陸するのを見届けて…夫が帰宅したのは明け方4時過ぎのことでした。
当然、それを見越していた夫はクリスマスイブの夕食にお酒を飲むのも控えていましたし、翌5日は午前中の家族の予定もキャンセルになりました。
毎年、こんな思いをしている家族が今もまだ沢山、日本の各地にいることを、覚えていて頂ければ幸いです。
自衛隊の冬期休暇は長い?まとめ
休暇のたびに提出を義務付けられる行動計画表ですが。
思わぬところで目にする機会がありました。
TBSドラマ「空飛ぶ広報室」の最終話で、柚木(水野美紀)と、槙(高橋努)が付き合っていることが要潤さん演じる片山に知られてしまうきっかけが、この行動計画表だったのです。
決済のための書類入れから落ちたその行動計画表に記載された二人の予定が同日、同じ行先だったことから発覚したその交際。
恐らくドラマ化に際して脚本家さんたちが取材された時に、同様の事例があったのでしょうね。
だからといって、勤務地から離れる時に虚偽の申告をしたり、申告せずに遠方に旅行したり、ということは禁忌です。
せっかくの長期休暇、ゆとりをもって安全に!有意義に!楽しんでいただきたいですね。