自衛官は特別職国家公務員です。
労働基準法に縛られない働き方をするため、一見すると“残業”はとても多いですが。
基本的に残業代(残業手当)というものはありません。
陸・海・空、24時間365日、さまざまな勤務形態で働いているので民間の一般企業などとは比較できないのです。
ただし、それぞれの職種やその業務、勤務地、勤務形態などによって様々な手当が手当が設定されています。
今から「基本的な手当」と、「陸・海・空それぞれにトピックスになる手当」について紹介します。
残業代はないけど、自衛隊独特の手当があるんですよ♪
自衛官の手当は安い!?~基本手当編~
扶養手当
扶養親族を有する者は、その数に応じて扶養手当が支給されます。
これは民間とかわりません。
地域手当等
都市部勤務、寒冷地勤務、特地勤務など、基地・駐屯地などの場所によってその地域性・物価などを考慮した手当が支給されます。
単身赴任手当
自衛官は転勤により単身赴任を選択し、世帯を分けるケースが多く、その負担を軽減するための手当が支給されます。
期末手当
基本的なボーナスです。
6月・12月に支給されるもので、一般の公務員のボーナスに準拠しています。
私的にはこのボーナスがなかなかオイシイです(笑)
自衛隊独特の手当は?
次に、自衛隊独特の手当を紹介しますね。
聞き慣れない項目が多くてビックリするかもですが、一般的な手当よりこちらの手当の方が高い割合が多いですね。
防衛出動基本手当・防衛出動特別勤務手当
万が一、他国から攻められてきた時に防衛のために出勤・出動した時の手当です。
公的な文章では以下のように書かれています。
自衛官が“防衛出動”した際に、戦闘またはこれに準ずる勤務において、その勤労の強度・勤務時間・勤労環境その他の条件・危険性・困難性、著しい特殊性に応じて支給される
ただし、恐らくこれは日本では今まで支給された事案はなかったと思いますよ。
つまり、戦争が起こった時の手当ってことですよね。そう考えると自衛隊って大変なお仕事ですよね><
航空手当
航空機乗員に支給される手当で、通称フライトペイと呼ばれています。
操縦士と、オペレーター、機上無線員、輸送機のロードマスター、救難員など、一定の資格を持って随時航空機に乗り組んで働いている自衛官に対して支給されます。
また、ジェット機に搭乗している場合にはさらにジェットペイと呼ばれる区分になり、通常のフライトペイよりも高額な手当になります。
乗組手当・航海手当
乗組手当は艦船乗組員(居住施設を有し、郊外行動を行う自衛艦その他の船舶に乗り組んでいる海上自衛官)に支給されます。
ほぼ洋上で生活し、艦を運用している間は休憩時間も休暇も職場に身を置いているような状態であること、そして護衛艦などを24時間休みなく運行させるために支給されており、さらに過酷な環境である潜水艦に関してはより厚い手当になります。
航海手当は、乗組手当が支給されない艦船に乗り組む海上自衛官らに出航~帰着までの日数に応じて支給されます。
落下傘隊員手当
落下傘(パラシュート)によって航空機から降下する“落下傘降下作業”を行うことを本務としている陸上自衛官・航空自衛官に支給されます。
主に陸上自衛隊の空挺隊員と、航空自衛隊の救難員らが該当します。
特別警備隊員手当
主に、海上自衛隊において、海上警備行動(不法に領海侵犯する他国の艦船への対応)を命じられた隊員に支給されます。
特殊作戦隊員手当
特殊作戦業務に従事する陸上自衛官に支給されます。
特殊勤務手当
不発弾などの爆発物処理や、サリンなどの特殊危険物、放射線などの取り扱い…等々。
さらに特殊を極めた手当だと、南極手当(南極観測船への乗務)などがあります。
災害派遣手当や国際緊急援助手当など、過酷な任務に従事した場合にはその作業に従事した日数に応じて支給されます。
自衛官の残業代と勤務手当まとめ
自衛隊の手当は高い?安い?
こうした手当は、基本給と同じ用に階級や職種によって設定・支給されるもので、それがまとまって自衛官の“お給料”になります。
前述の手当の名称を見ても“警備行動”とか“特殊作戦”とか、ちょっと驚いてしまうような言葉が並びますが、これは自衛官たちにとっての日常なのです。
手当ての金額が安いか高いかは、個々の価値観にもよりますが。
以前に比べれば、例えば不発弾処理の危険手当などは「その専門性に重きを置いて妥当な金額が設定される」ようになってきたり。
捉え方も設定方法も時代によっても変わってきています。
海外派遣系の手当は高いけど…
また、例えば中東や、インドネシアなどに長期間派遣されていた隊員がその期間に“車を買い替えられるくらいの手当”を支給されても、それはある意味、まさに命がけで稼いだとても尊いお金です。
派遣されなかった部隊の人たちが漠然とその結果を羨んでいたとしても、送り出す側の家族は身を切られるような思いで留守を守っている、ということもあるのです。
自衛官は、退職するまでずっと訓練を続け、勉強したり、国家資格を取得したり、定期的に論文を書くなど研鑽をつづけていますが、その一つ一つの成果の集大成が給与明細に現れるとも言えますね。
自衛隊の給料は高くはないけど安定している
さて、その合計金額がそれほど高いとは思えない、という人がいたとしても。
自衛隊の福利厚生をトータルで考えれば、民間とトントンではないでしょうか。
一般企業のように景気の波に左右はされませんので、劇的に上がることはありませんが、ガツンと下がることもありません。
そういう意味では、自衛隊には「自分の努力次第で、ある程度の手当てをゲットできる職種や階級に就けば、安定した生活ができる」はずなのです。