自衛官は2~3年ごとに転属を繰り返す職業です。
結婚して、子供が小さい間は一緒について回ることが当たり前でしたが。
子供の成長とともに「受験など教育の問題がでてくること」や、「妻の仕事の関係」などから、ある程度の年齢・キャリアになると単身赴任を選択するケースが増えてきました。
ここでは、「自衛官の単身赴任のデメリット・メリット」について考えてみましょう。
実際、私の旦那(航空自衛官)も単身赴任しています。私の体験談も踏まえてお伝えしますね。
自衛官が結婚後に単身赴任になる理由は子供の教育問題!?
自衛官の赴任先は全国各地に散らばっています。
勤務先は職種によって「都市部から、はるかに離れた離島」まで様々。
子供が生まれて数年はそれほど意識もせずに、夫と一緒に引っ越しして「いろいろな土地の暮らしを楽しむ家庭」が多いですが。
学齢が小学校の高学年に差し掛かるようになると、その後の受験を考えるようになり「単身赴任を視野に入れたライフプラン」を考えるようになります。
塾や習い事、さらに各地の中学事情、そして高校受験への流れ。
便利な地域に暮らしている人はそのエリアでの生活を継続するために。
地域に転勤になったら単身赴任率が上がる!?
また勤務先によっては…
- 学校の選択肢が少ない
- 教育レベルに不安がある
という地域もあります。
そういった場合には、「夫婦どちらかの実家の近くで住居をさがして、夫だけが単身赴任になる」というパターンが多いです。
妻の仕事復帰で単身赴任のパターンもある
また、最近では「子供が小学生くらいになると妻が仕事に復帰したり、再就職したり」ということも増えてきました。
子供の教育費や定年後の蓄えのために「共働き」を選択する女性も多いです。
以前よりも「自衛官の単身赴任率」は上がってきているように感じます。
単身赴任のデメリット
経済的負担が大きい
単身赴任になると、基本的に「二世帯分の生活を維持すること」になります。
自宅と、赴任先の官舎の家賃やローン、そして水道・光熱費、インターネットを使う場合でもその電話回線などの通信費が余計に発生します。
単身赴任手当があっても、だいたいの場合は自己負担の方が上回ります。
そして、単身赴任先からの帰宅の交通費など、「通常の生活では発生しないお金」まで出てきます。
そのため、「交通費を捻出する」ために、様々な節約が必要になります。
わが家の交通費節約術
ちなみにわが家では、航空機を使う場合には「航空会社を絞ってマイルを効果的にためるよう、クレジットカードを作成」し、生活費関係を全てそのクレジットカードで支払う事にしました。
いわゆる“陸マイラー”です。
電話代や生活費の引き落としを全てそのカードに集約し、店舗で買い物するときには鉛筆一本、コンビニでガムを買う時でも「全てこのカードで決済」しています。
交通費が年間10万円以上の節約になりましたよ。
家族間(夫婦・親子)のコミュニケーションが難しくなる
家族が離れる、ということは結構な心理的ストレスをもたらします。
成長期の子供と父親の会話は、同じ家にいても難しくなってくるもの。
それが単身赴任になると、さらに難しいですよね。
なので、意識して「父親と子供の会話の回数や時間」を増やしていかないと、受験や将来的な進路の決定にも支障をきたすことがあります。
わが家のコミュニケーション方法
とはいえ、現在はSNSやスカイプなど「顔を見て会話ができるテレビ通話の手段」ができましたよね。
わが家では「朝の挨拶や、帰宅後の会話、食事時間」などに意識して食卓などにパソコンやタブレットを置いておきます。
そうして「家族で会話する時間」を捻出していますよ。
また、LINEは“既読”が付くので、きちんと伝わっているかどうかが解りやすくてよいですね。
こうしたツールを積極的に使っていくことで、「むしろ一緒に暮らしているよりも家族としての意識が強くなる」というケースもあります。
子供の負担が大きい
転勤を視野に入れている家庭では「中学受験は考えない」場合が多いようですが。
必ず通らなければならないのが高校受験です。
特に中学で「都道府県をまたぐような転勤」があった場合
- 内申点で不利益を被ったり
- その地域特有の学習の特徴などが理解できなかったり
こういった状況のまま受験期に突入してしまい、「能力にあった学校に進学できなかったり、トライした学校に不合格になってしまうケース」もあります。
それ以外でも、子供たち自身の交友関係が構築しづらくなり、思春期の精神状態にも影響を残してしまうことがあります。
「家族だから、それくらいは我慢するべき」という親もいましたが。
実際、子供たちが抱えるストレスはとても大きく、大人になってからの親子関係にも大きな影響を残してしまうことが少なくありません。
デメリットはあるけど対策は可能
このように、デメリットは沢山ありますが、あらかじめ意識して対策を立てることで、ある程度は解決できるものです。
むしろより一層節約に励むようになり「メリハリの利いたお金の使い方が身についた」という世帯もありますし。
「家族としての連帯をより意識するようになった」というファミリーもありました。
いろいろな苦労や生活の不具合は、諦めたらただデメリットばかりに見えますが、それをチャンスに変えることだってできます。
単身赴任を避けられないのであれば、色々な工夫をして家族で乗り越えていきましょう♪
単身赴任のメリット
期間限定で色々な土地の暮らしを体験できる
自宅を関東地方に構えた我が家では「東北と北海道で三回、通算5年ほどの単身赴任期間」を経験しています。
それは「子供たちが小学校の高学年から高校受験に差し掛かる頃」でした。
長期休暇には赴任先に連れて行き、夏休みには出来るだけ長い間夫の赴任先で過ごせるように部活や塾を調整して過ごしましたよ。
そのおかげで、地元とは違う土地の暮らしを体験できました。
いろいろな地方の違いを肌で感じたのは、とても良い経験になったと思っています。
水道水の温度、スーパーに並んでいる食材の違い、緯度経度の違いで微妙にズレる日没時間や紫外線の強さなど、「日本は狭いけれど、細長いのだということが実感できる日々だった」と思っています。
子供たちに安定した学習環境を作れる
小学校の高学年から、高校受験を意識する人は少なくありません。
中学校に入る時点でしっかり腰を据えて勉強することを考えると、その時期に転居、転校することのデメリットは大人が思うより大きいものです。
この時期に単身赴任で父親と母子で生活が分かれていたとしても、しっかり話し合って将来のための努力を重ねられたら、多くの場合「納得の結果を得られる」ようになります。
実際、父親が「全員そろって暮らしてこそ家族!」というポリシーのもとに、高校を転校させてまで連れ歩いた一家がありましたが。
転校に際して元の学校よりレベルを落とさなければならなかったこと、そして転校先の新しい環境に馴染めないままに大学受験に突入し、結果的に親子で大変な苦労をしていました。
「やってみなければわからない」まさに結果論ではありましたが。
子供の人生を大切に考えるのであれば、「その時期を安定した環境でのびのび過ごさせてあげることには、大きな意義があった」と思っています。
妻の“キャリア”を考慮する
この10年で、専業主婦率がかなり低くなりました。
その波は自衛官の家族でも同様になりましたが。
子供がある程度の年齢に差し掛かると、妻も学費や将来への備えのために仕事を始めたり、再開するケースが増えています。
そうなると、安定した仕事を得た妻は、転勤によってそれがリセットされることを懸念するようになります。
ちょうどそれが子供の学齢が上がってくるころ、そして受験期に差し掛かっていることが多いのです。
こうした家庭内の事情も、単身赴任を後押しすることに繋がっているようですね。
まとめ
子供は転校したくない?
幹部自衛官の家庭で「転勤してきた時に小学4年生のお兄ちゃんを頭に、3人兄弟」という家族がありました。
しばらく官舎に住んでいましたが。
お兄ちゃんが中学に上がるころ、転勤の打診があり「赴任先についていくか、九州にある両親の実家近くに戻るか」という選択肢が上がっていたそうです。
そのお兄ちゃんはスポーツや勉強でとても頑張っており、行きたい学校(高校・大学)もその時の任地の近くにあったのです。
ワガママを言う子ではない、とてもクレバーな彼が初めて親に言った大きな“お願い”が「転校しなくて良い家で暮らしたい」ということだったのです。
親御さんもそれを認めて、近辺に家を購入し、お父さんはその次の転勤から単身赴任になりました。
そのエピソードが、いろいろなことを物語っているような気がします。
自衛官というお仕事は…
自衛官という仕事はとても重要で、さらに本人の生活と仕事がとても密接に関わってはいますが。
そこに家族の暮らしも、そして子供のこれからの人生もあるのです。
配偶者は自衛官との結婚、そして、ともに歩むという人生を選べますが。
子供は、親を選べません。
“単身赴任”はそうした家族の暮らしの中で、ある時期避けて通れない選択です。
私は、単身赴任を経験してみて楽しかったと思っていますし、豊かな時間であった、と今でも懐かしく思います。
出費は多いし、面倒なこともありますが。
“家族”であることをいろいろと考える良い時期になるのでは?とポジティブに考えています。