俗に「官舎」と呼ばれる自衛隊宿舎。
自衛官は「訓令」によって居住する地域が定められています。
有事の際や、訓練の非常呼集で“間に合わない”ということがあってはならないからです。
よって、自衛官は「営内と呼ばれる宿舎」か、または「隣接する場所」に住むことを義務付けられているのです。
…と、官舎について調べると堅苦しいことが書かれていますが。
要は、通勤に便利なように「基地や駐屯地の隣や近所」に集合住宅があって、自衛官は概ねそこに住むことになりますよ、という話です。
自衛隊は災害やその他、何かしらアクシデントで緊急出勤することがあります。そんな時でもすぐ対応できるように、駐屯地の近くに住む必要があるんですよ。
んが、この官舎、自衛隊の家族や本人にとっては…
- 実際の家賃ってどうなの?
- アパートやマンションと比較してやっぱり安いの?
- 一人暮らし時代は良いとして、結婚したらどんな生活になるの?
と疑問になりますよね。
そこで今回は自衛官妻である私が「自衛隊官舎のアレコレ」についてご紹介。
ぜひ参考にしてくださいね!
自衛隊宿舎の種類…営内と営外、特借って何?
入隊直後は園内宿舎が必須!?
宿舎には「営内(えいない)・営外(えいがい)」と種類があり、階級やその家族構成などで分けられています。
営内とは、「基地・駐屯地の中にある寮」のことを表します。
入隊直後の自衛官はその階級によらず、全てが営内(えいない)の隊舎に居住します。
殆どが大部屋で、個人のスペースはベッドとロッカーと机。
お風呂も大浴場で、トイレも洗面所も共有という、「プライバシーはほぼ望めない、学校の寮のような施設」です。
そこで自衛官としての心得を叩き込まれ、集団として動くという基礎・基本を学ぶのです。
園外宿舎って?
一定期間をそうして過ごしてから、専門教育を施されて部隊に配属されると、そこからは「階級や職種」によってさまざまな居住形態になっていくのです。
主に「幹部自衛官と、曹以上の階級で既婚者、または30歳以上」などが、その基地・駐屯地・所属部隊の事情にもよりますが、基地の外の官舎に住めるようになります。
それを「営外(えいがい)」といいます。
特借ってなに?
基本的に自衛官は官舎に住むことが義務付けられていますが、官舎が足りない場合や様々な事情により「民間のアパートやマンションを借りる」場合もあります。
「一棟丸ごと官舎の代わりに借り上げている物件」もあり、そうした物件のことを「特借(とっかり)」と言います。
一般のアパートやマンションを借りる場合には、企業の家賃補助と同様のお金が支給される場合もありますが、いずれも場所が職場に近く「○分以内には出勤できること」というチェックが入る可能性が高いです。
自衛隊官舎の家賃ってどのくらい?
官舎の家賃はいくらくらい?
官舎の家賃は民間の賃貸マンションなどに比べるとかなり格安です。
地域やその建物の新しさ、部屋の広さや設備にもよりますが、「単身者用の1LDK程度で2万円」くらいから、「家族用の3LDKで4万円」の間が相場です。
ただ、「東京都内などの大都市圏」ではまた少し事情が異なりますので注意してくださいね。
が、いずれも近隣の民間の物件よりは安く設定されていますよ。
官舎の家賃が安い理由は?
しかし、安いのには理由があります。
建物が築30年もザラ。
最近建てられた棟は網戸が標準装備ですが、涼しい北海道には(虫はそれほどいないだろうと思われたのか)網戸が付けられていない官舎がまだあります。
トイレや洗面所は給排水の配管が剥き出しで作られていたり、壁はコンクリートの打ちっぱなしにペンキの塗装がデフォ。
しかも断熱材は殆ど期待できないので、結露が酷くてカビの予防が大変!など。
直接“生命維持”に関わらない装備にはお金をかけない自衛隊らしい、ある意味「質実剛健な建物」だという覚悟がいります。
お風呂の給湯器もバランス釜がいまだに標準装備で、風呂場に換気扇がないところもあるので、知恵を絞って快適さをひねり出す逞しさを求められます。
家賃は安い。確かに安いのよ。
でも、もう少し快適な建物にしてー!!
自衛隊官舎の入居条件って?
前述のとおり、自衛官は専門教育が終了して部隊配属されてからは色々な住宅に住むようになります。
幹部自衛官が住む独身寮がある!?
幹部自衛官でも一人暮らしにこだわらない場合には「BOQと呼ばれる営内の独身幹部の隊舎」に住む人もいます。
この場合は営内とはいえ、殆どが個室で、日常的に稼業時間以外には外出も外泊も自由です。
しかし、外の単身者用の宿舎や特借、民間の物件に住む人もいます。
若い一般隊員は営内に住むことが多い?
下士官の曹、士長以下の一般隊員は基本的に営内に住みます。
概ね3~4人の大部屋で、さまざまな年齢層、階級の者が一室で暮らすことになります。
こうした隊員は、基地の外に出るには申請して許可を得る必要があります。
外泊申請してしない場合には門限も設定されています。
しかし、そうした曹、士長以下の一般隊員でも
- ある年齢に達したり(大体30歳前後)
- 結婚して家族を持つことになったら
営外の官舎に住むこともできるようになりますよ。
結婚後もずっと営内に住まないといけないワケではないので、安心してくださいね。
結婚したらどうなるの?
本来「営内に居住することを指定されている階級や職種」でも、結婚を機会に営外の官舎や特借に住むようになります。
また、「単身者用(1LDKなど)の宿舎に住む隊員が結婚した」場合、広い官舎や新しい特借の物件に移ることを希望するケースもあります。
実際には結婚してもすぐに一緒に住まない!?
しかし、その場合の引っ越し費用は「自己都合という理由で全額負担」になります。
なので、実際は「次の転勤まではそこに住んで、転勤&引越し後に官舎で奥さんと一緒の生活を始める」という人も少なくありません。
自衛官は基本的に2~3年で転勤がありますので。
その間は皆さん「家族で一緒に住むこと」にそれほどこだわらずに、「指定された官舎の部屋」に住み、工夫して暮らしているようです。
自衛官宿舎の家賃や入居条件まとめ
営内でも、営外の官舎でも、自衛官は基地の周りに住むことになるので、「職場の関係者といつも近くに暮らしている」という緊張感があります。
が、それは「いつ何時でも“こと”が起これば一刻も早く出動し、国民のために働く」というベースの部分を作っているのだと考えます。
慣れてしまえばそれほど苦になるものでもなく…
逆に、転勤して行った先で官舎に入居すれば、「なにくれとなく気にかけて、助けてくれる人がいる」のだと思えば、官舎暮らしも悪くありません。
特に子供が生まれてからは「助け合い」ができるので助かりますよ。
自衛官妻は基本的に「ワンオペ」になることが多いですので、悩みを相談できる相手が近くに住んでいる…というの心強いです♪
もちろん、濃密な人間関係にストレスを感じるケースもあるかもしれません。
どうしても官舎が嫌な場合には、「近くのアパートやマンションを借りる」のも手ですので、お財布事情&旦那さんとよく相談されてくださいね。
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