「自衛隊は中卒でも入隊できるの?」
「たとえ、入隊できたとしても、中卒自衛隊だと出世できずにお給料が低いままなんじゃ…」
「中卒でも出世してエリート幹部になることはできる?」
そんな悩みを持った人もいるはず。
ここでは「自衛隊は中卒でも入隊できるのか、出世は可能か」についてまとめています。
自衛隊に憧れる人、進路で迷っている人などはぜひ参考にしてくださいね。
自衛隊彼氏が実は中卒だった…という女性としても「将来的に大丈夫かな?」と気になりますよね。今回は「中卒自衛官」についてお勉強しましょう!
中卒でも自衛隊になるのは可能!
結論から言うと、中卒でも「18歳以上」であれば自衛隊に入隊できます。
つまり、18歳以上であれば学歴に関係なく自衛隊入隊可能ということです。
中学卒業と同時に入隊する場合には…
が、もし「中学卒業と同時に自衛隊に入りたい」という場合、「陸上自衛隊 高等工科学校」に入学する必要があります。
「一般の高等学校に相当する年齢層の生徒たち(16~18歳)」が中学校を修了してから入校してくるワケですが、生徒は「学生でありながらすでにその身分は自衛官」として扱われるのです。
ちなみに以前は航空自衛隊・海上自衛隊にも同様の制度がありましたが、2011年に廃止。
現在は陸上自衛隊にのみ残されています。
その陸上自衛隊高等工科学校は現在「神奈川県横須賀市の武山駐屯地」にあり、生徒らは厳しい訓練と専門教育、そして神奈川県立横浜修悠館高等学校の課程を履修しています。
陸上自衛隊 高等工科学校って?
どんな学生生活?
中学を卒業したばかりの15~16歳の少年が入校してくる「陸上自衛隊 高等工科学校」では、起床から就寝まで一般の自衛官と同様に厳しい集団生活を義務付けられています。
自由時間どころか、携帯電話をやスマホを契約していたとしても鍵付きのロッカーに預けられて週末にしか触ることもできません。
もちろん外出も制限され、全国から集まって寝起きを共にしているので、好きな時に親元に帰る自由もありません。
思春期にそんな生活を義務付けられるので、当然「途中でギブアップ(退学)する生徒」もいます。
学費は無料でお給料もある?
が、その多くは「経済的な理由」や「将来自衛官として働きたいという志」を持ってここにやってきています。
というのも、彼らは衣食住が無料で、学費もかかりません。
さらに毎月10万円の生徒手当が支給され、年二回の期末手当(ボーナスに相当)もあります。
専門的な資格も取得できるとして、東日本大震災以来、様々な面で注目を集めるようになったこの高等工科学校ですが。
一般的に「偏差値は60超で倍率は10倍以上」と言われており、そこに入学した時点でその世代としては心身ともにプチ・エリート集団ともいえるのです。
陸上自衛隊 高等工科学校を卒業した後はどうなるの?
高卒自衛官は期限付きの勤務?
一般に高卒で入隊する隊員の多くは「士」と呼ばれる任期制の自衛官です。
二等陸士(海士・空士)から始まって半年で一等陸士(海士・空士)に昇任、一年後に士長となりますが、民間でいうところの契約社員と似て、期限付きの勤務となります。
中卒→高等工科学校に入学した場合は
が、彼ら高等工科学校の生徒は「卒業と同時に曹候補生」となります。
民間で言えば“正社員”のような待遇となり、この時点で「高卒の一般隊員とは違う、定年まで勤めあげられる身分」になるのです。
よって、中卒で高等工科学校に進学した生徒は、卒業後には多くの同世代の隊員よりも「安定した身分」を保証されているのです。
ここでいう“曹”は多くの場合専門的な教育を施されて部隊に貢献するスペシャリストです。
転勤も幹部に比べれば比較的少なく、一つの職場で長い間勤められるという利点もあります。
地元やそれに近いエリアに勤務することもできるので、それぞれの適正に応じてそうした職種・勤務地の希望を出し、落ち着いて生活することを選ぶ人も多くいます。
定年まで勤めあげたら、その職能を生かして民間の防衛産業などで働く人もいますよ。
高等工科学校卒業後にさらにエリートコースを目指すなら?
高等工科学校卒業生は三年間の専門教育を受けている時点で、同世代の学生らの中ではアドバンテージがとれている存在ともいえますね。
その意味では既に抜きんでた存在ではありますが、さらにステップアップして「自衛隊の中でトップ(幹部)を目指していくルート(いわゆる出世コースですね)」があります。
それが「防衛大学校」と「航空学生」なのです。
防衛大学校と航空学生って?
自衛隊幹部は防衛大学校出身者がほとんど!?
自衛隊は、実は本当に階級と“学歴”の社会であると言われています。
トップ集団・指揮官クラスは基本的に防衛大学校出身者で占められているのです。
高等工科学校の生徒たちの中でも、卒業後このルートを目指す者が少なからず出てきます。
ある意味筋金入りの“自衛官”です。
また、こちらも大卒(4年で学士卒)として認められるようになり、さらに毎月の学生手当(11万円程度)や年二回の期末手当(38万円弱)が支給されます。
こちらも、東日本大震災の影響で社会貢献したいと考える学生や、経済的な困窮から進学してくる学生も多くいます。
陸曹航空操縦学生はパイロット候補
また、陸曹航空操縦学生は将来のパイロットを目指す候補として適正を鑑みて選抜される、これもまた相当なエリート集団です。
一人前になるまでに2割は振り落とされてエリミネートされていくと言われる狭き門となります。
日々、命の危険がある世界ですから、適性と実力が無ければついていけないのは当然ですね。
こうした世界で切磋琢磨されていく人たちですから、当然その後のコースもエリート幹部としてぐいぐい進んでいくのは目に見えています。
出世は本人の努力次第!
防衛大学に入ったからといって、油断はできない!?
中卒から高等工科学校へ進学、そこから防衛大学校に進み、4年後に幹部として任官した場合でも、それで全てが約束されたわけではありません。
最短で3等陸尉として任官したとしても、そこから先にはさまざまな選抜試験や適性検査が待っています。
防衛省でポジンションを狙うならさらに厳しい勉強が
将来、防衛省のなかでそれなりのポジションを目指すのであれば、20代後半から「指揮幕僚課程(CS)」に合格し、修了することが必須。
さらに30代後半からはその先にある「幹部高級課程」を目指していく者がいます。
いずれもその合格は大変な狭き門であり、合格したら部隊勤務と違って「陸上自衛隊教育訓練研究本部(旧・陸上自衛隊幹部学校)」において「難関大学(大学院)相当の教育」を受けることになります。
高度な知識と語学力・専門性が求められ、さらに日々討論と論文作成に追われる厳しい環境に身を置くことになるのです。
こうした課程を経ることにより、自衛隊のトップオブトップは鍛え上げられていくのです。
中卒自衛官のその後まとめ
中卒自衛官の多くは「曹として堅実に勤め上げ、そこから准尉を経て幹部に昇任」していきます。
が、前述の通り「防衛大学校に進学し、陸将まで勤め上げている人たち」も過去存在しています。
ひとそれぞれ、自衛官としての生き方は様々ですが、共通して言えるのは「10代半ばから厳しい環境に身を置いて鍛え上げられていますので、自衛隊のみならずひろく民間でも活躍しうる人材に成長」しています。
そうした志ある学生が今でも存在しており、日々厳しい訓練を受けているのだということを、もっと多くの方に認識していただきたいですね。
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